不二家憩希のブログ

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秋葉祭に出た。その⑦

 開始時刻が来るのを皆で待っていると、公
民館横の駐車場に1台のバンが止まった。
 バンの中からは、派手な衣装の男性が降り
てきた。
 禰宜の装束に威を正したIさんだ。
 Iさんは町内の当班の隣の班にお住まいで、
禰宜さんなのだ。
 Iさんは50代まで普通の会社勤めをされ
たおられたのだが、退職後禰宜の道に進まれ
たのだ。
 会社員から禰宜への転身は、ちょっと珍し
いことのようにも思えるが、Iさんは家が元
々そういうお宅なのでは自然の成り行きであ
った。
 今では各種行事に呼ばれて、禰宜として活
動されている。
 そして当然、氏神様の管理、運営にも大き
く関わっている。
 禰宜さんの装束は、大相撲の行司の装束に
近いように見えた。
 キラキラの生地に、体の線を出さない特有
のデザインの衣装である。
 あんなに光っていて、生地は何なのだろう

 やはり絹なのだろうか?
 洗濯はどうするのか?
 保管はどうしているのか?
 足元を見ると草履ではない。
 黒の木靴である。
 塗料が塗られたピカピカの黒である。
 いまどき木靴を履いているのは、お祭りの
時のオランダ人か禰宜さんくらいのものだろ
う。
 駐車場の砂利道をパコパコ音をさせて、こ
ちらにやって来る。
 日常見慣れない衣装に見慣れない靴の禰宜
さんの登場で、周囲の空気は一気にお祭りっ
ぽくなってきた。

 ~続く~