日本において神仏もしくは聖人がテーマとなった歌でヒ
ットした曲は一曲も無い、ということからも言える。
宗教心が一定以上あれば、そうした曲が何曲か流行し
定着しているはずである。
諸外国では、そうした曲はいくらでもある。
米国ではゴスペル・ミュージックが一大ジャンルとして繁
栄している。
日本の歌謡曲を見てみる。
神、仏といった単語が歌詞に出てこない。
春日八郎の”お富さん”で「♪死んだはずだよお富さん、
生きていたとはお釈迦様でも知らぬ仏のお富さん♪」くらい
しか思い浮かばない。
しかも、この歌では釈迦は尊ばれる存在として描かれて
はいない。
「知らぬ仏の」と微妙に揶揄されている。
は詩世界の背景に用いられているだけである。
この他には思いつかない。
多くの日本人は宗教とは距離をおいて暮らしているため、
歌の世界に神仏が取り上げられることがないのであろう。
「それと宗教心が薄いことはイコールではない」という声も
あるかもしれない。
果たしてそうかなぁ?
私は身近な文化である歌に宗教色がほぼゼロの国は、や
はり宗教心は薄いと考えているのである。