いつものスーパーへ行った。
日曜日の午後でお客さんも沢山いる。
私のように4時からのタイムサービス目当てのお
客さんも多いのだろう。
買い物前にトイレに入った。
用を足していると個室から会話が聞こえてきた。
「はい、そうそう」
「うん、そうだねぇ」
お父さんと小さい女の子のようだ。
「お母しゃんは○△だよねぇ」
「へぇ~、そうなの」
お父さんが女の子の小用の世話をしているらしい。
お母さんは買い物中なのだろう。
お父さんはその間女の子のお相手役を務めてい
るようだ。
「はい、それじゃ1、2の3!」
お父さんの声は優しく真剣である。
粗相をするわけにはいかない。
「よく出来ましたぁ」
おぉ、無事済んだか。
水洗が流される音がする。
すると女の子がこう言った。
「おしっこしゃんがバイバイって言っているよ」
ハハハ、おしっこに”さん付け”か。
だがこれは思いも寄らない表現である。
子供が動物や物を擬人化することはよくあるが、
それがおしっこにまで及ぶのか。
個室のドアが開く音がする。
どんな親子なのだろう?
お父さんは若く長身、声の通り優しそうな感じであ
る。
女の子は2歳くらいだろうか。
大きめのビスクドールのようである。
赤と白の細いボーダーの服がよく似合っている。
お父さんは今度は自分の小用のために便器の前
にたった。
女の子は、その足にしがみついて何か話しかけて
いる。
私は一足先にトイレを出た。
そして目当ての特売品のさつまいもを確保しようと
青果売り場に向かった。