プリントに暗証番号を書き入れる。
係員が戻ってきた。
これで良いですか?
私はプリントを見せる。
すると係員は「これは当人の控えとして保存しておいてもらうものなので、私は見るわけにはいかないんです」と答えた。
なんだ、そうなのか。
このプリントはそういうものなのか。
だったら、最初からそう言ってくれれば良いのに。
次にその書かれた暗証番号を見て、カウンターにあるタッチパネルでその暗証番号を登録した。
係員はパソコンに繋がれたカメラで私を写し、私が当人であることを確認した。
マイナンバーカードの写真と写したばかりのその写真を照合するらしい。
「はい、ご本人であることが確認できました」
そりゃ、当たり前だろう。
さっきから身分証明書やら何やらでわかりきったことではないか。
アホか。
まぁ、こうしたいくつものチェックポイントを設けているのであろうから、仕方ない。
私はその当人判別用のシステムに驚いた様子を見せた。
それでわかるんですね。
私がそう言うと係員は少し得意そうな表情になった。
でも、あなたが開発したわけじゃないだろう。
あなたは、それを使っているだけじゃないのか。
否、使われているといった方が正しいのか。
愚かな人は、すぐに得意になる。
それが自分由来でなくとも、である。
そして、マイナンバーカードを受け取った。
カードのデザインは、実に冴えないものだった。
これがこの国のやることか。
まぁ、所詮そんなものか。
私はカードを姉妹、市役所をあとにした。