インド人なら誰でも知っているという孝行息子の話がある。
シュラヴァン・クマールという息子が目と足が不自由な両親を寺院巡礼のために天秤棒で担いで連れて行ったという話である。
この話は古代から伝わる叙事詩ラーマーヤナの中にあるもので、この逸話を元に
いくつもの映画が作られてきた。
私はこの話を読んで(本当にそんな人がいるのだろうか?)と思っていた。
話を疑わないまでも、そんな人はまず存在しないだろうと思っていた。
両親がかなり痩せていたとしても、二人で80kgはあるだろう。
それほどの重量を支えるカゴや紐があるとは思えないし、何より重い。
巡礼と言えるほどの距離を歩けるとは思えなかった。
だが、先日入ってきたニュースは、そうした疑念を払拭するには十分なものだった。
国を追われた避難民の身の上で、これほどのことが成し遂げられるのか。
これぞ、親孝行と言えるのではなかろうか。
驚嘆と賛嘆の思いしかない。