昨日の午後4時半、私は庭の植物に水をやっていた。
いつもよりも1時間半ほど早い。
水やりを早く済ませようという気になったのだ。
この日はいつも流行っていない植物にも水やりをした。
葉が黄色くなりかけている植木を見つけたからだ。
私はその植木にジョウロで水をかけた。
すると嫌な音がし始めた。
「ブーン」という羽音とともに茶色いものが舞い上がってきた。
ハチだ。
大きさは3センチ近くあるように見える。
かなり大きい。
飛び始めたのは10匹から15匹ほどだ。
どうなっているんだ?
よく見ると植木にハチが巣を作っている。
大人の握りこぶしくらいの巣と小学生くらいの子供のこぶし大の巣が二つも並んでいる。
巣にはさらに20匹ほど集まっている。
これは、まずい。
一旦撤退だ。
私は家に入る。
どうする?
こういう時にはおとなりのKさん宅に行って知恵をお借りしよう。
事情を話すとKさん夫妻は驚くだけで具体的な処方策は出てこない。
奥さんがアースジェットを持ってきてくれた。
そして、こう言った。
「ハチって夜には目が見えるのかしら?」
えぇ~?
そんなこと今聞かれてもな。
私はアースジェットを持って家に戻った。
次はもう一軒のお隣さんのNさん宅に行った。
こちらも驚きの反応が返ってきた。
「そういう言えば、ここのところ大きいハチが飛んでるな、と思っていたよ」
やはりNさん夫婦のほうが若いので反応も早い。
奥さんが虫コロリアースを持ってきてくれた。
こちらの方が効きそうだな。
私はハチの巣から50センチの地点から指で指し示す。
そうしている間にも、一羽のハチが私目がけて襲いかかってきた。
先程水をかけて来た仕返しなのか?
私は手で払いのける。
不思議なことに怖くはない。
ハチが巣を荒らされると攻撃してくるという話は本当なんだな。
さて、どうするか?
幸か不幸かハチの巣付きの植木鉢は窓際に近い場所に置いてある。
家から網戸越しに虫コロリアースを噴射するという作戦をNさんの旦那さんに提案された。
それが最も効果的だろう。
私は家に入った。
網戸をずらし、ハチの巣の植木に届く位置に移動する。
私は網戸越しに虫コロリアースを噴射した。
ハチが飛び上がる。
やはり20匹以上はいたのだ。
私はなおも噴射を続ける。
巣の反応がなくなった。
私はレジ袋で巣を覆い、ハサミで植木ごとハチの巣を切り取った。
そしてレジ袋に入れて封をした。
念のためにもう一枚のレジ袋にいれ二重にした。
これでひとまず安心か?
私はレジ袋に入った巣をKさん宅に見せに行った。
「ほぉ、本当に大きいね!」
私はお礼を言ってアースジェットをお返した。
次にNさん宅にも巣を持って見せに行った。
虫コロリアースはそのまま貸してくれることになった。
その後、後片付けをしていると、ハチが襲ってきた。
一直線に飛びかかってくる。
私は虫コロリアースで迎え撃つ。
一発で撃退できた。
ガンマンになった気分である。
数分経った後、別のハチが襲ってきた。
ハチにしてみればいきなり巣を撤去されれば、怒りで襲ってくるのも道理である。
でもなぁ、君ら刺してくるだろう?
申し訳ないが、私は不殺生戒を護持するほど良い人ではないのだ。
こうしてハチとの格闘は一応の終わりとなった。
後で調べるとハチはアシナガバチの一種で黄色アシナガバチのようだ。
あんな大きいアシナガバチは初めて観た。
スズメバチでは無かっただけ幸いだった。