過去の記憶も未来への思い、これらは幻想である。
妄想である。
それらは、今現在は存在しない。
記憶の中に、漂う心の中に傷跡を留めているだけである。
人は、その傷跡から思い出を読み取る。
楽しいことであると辛いことであろうと、それらは傷跡でしか無い。
この行為を繰り返しているうちに、傷跡は深く広がっていく。
この傷は修復不能である。
治癒されることはない。
自らが選んで繰り返している愚かな行為に働く自己治癒力は無いからである。
そこから脳の破壊が始まる。
高齢になるに従って、脳の働きが弱まるのは、このためである。
傷跡が脳を侵食し、正常な動きが阻害されるからである。
早く老化を進めたければ、過去の思い出には浸り続ければ良い。